クオンツに興味がある人が読んでおくべき本

金融と関係ない業界で働いている方から
クオンツという仕事があるのはわかったが、実際にどういうことをやっているのかよくわからない。もっとよく知りたいのでお勧めの書籍があれば紹介してほしい」
という旨のご質問を頂いたので私が読んだ中である程度クオンツに関係してて面白いなーと思った書籍をまとめておきます。専門書じゃなくて読み物です。

物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進


私がクオンツに興味を持ったきっかけとなった書物です。素粒子物理学者を志した秀才(not 天才)エマニュエル・ダーマン氏の物理学研究者としての挫折とクオンツへと転身した後の数々の活躍についての自伝。また金融のモデルとは何か・金融理論に物理学のような真理・普遍的な法則はありえるのか等についても記載があり。彼が実際に開発したモデルやコンセプトは今でもよく参照されます。

ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち


著名な実在のクオンツ複数人にフォーカスを当て、彼らがどのような経歴を辿りクオンツとして働く事になったのかが詳しく記載されています。また彼らの視点を通して昨今の金融危機で一体何が起こっていたのかという点についての記載も豊富です。この本を読めばクオンツというお仕事は一体何をするものなのかが一通り理解できると思います。

禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン


マンデルブロ集合」で有名で2010年に亡くなられた偉大なる「経済」学者マンデルブロ氏の著作で、基本金融工学disの本です。ブラックショールズモデル等よく知られた金融工学のモデルは実際の株価の動きに基づかないいい加減なモデリングをしているので、出てくる結果もでたらめだろ?というわかりやすい主張を展開。フラクタルや複雑ネットワークにも近い話なのでそっちに興味がある人が読んでも面白いかもしれません。第12章の禁断の金融10カ条は常に意識したい所。

市場リスク 暴落は必然か


クオンツクオンツした書物ではないのですが、要所要所にそれっぽい話を見ることができる書物です。例えば(あまりお近づきになりたくない)幻のプログラミング言語APLについても記載があったり。。。また80年代半ばの旧ソロモンブラザーズ(現シティ)には今でいうグーグルに似たノリを感じることができる記載が多く、著者はそれを「クオンツ天国」や「知性のメッカ」と呼んでいる点がおもしろく、いい時代だったんだなーとも感じました。有名どころだとモルガン・スタンレーのAPT(analytic prop-trade)部門についての記載もあります。日本人の債券ディラーで有名だった旧ソロモンブラザーズの「シュガー」明神氏(実在)の話もありなかなか面白い一冊。

巨大投資銀行(バルジブラケット)



こちらもクオンツクオンツした書物ではないですが、今まで紹介した本と違って”日本人”の視点から書かれている金融関係の【小説】です。ちなみに上で書いた「シュガー」明神氏は「ソルト」竜神と名前を変え、クオンツモデルを引っさげて債券ディーラーとして大暴れします。また本小説には2人主人公的なポジションのキャラがいて、竜神氏ともう一人の桂木という登場人物がおり、彼は最終的に現在のみずほコーポレート銀行(旧日本興業銀行)的な銀行の投資銀行化に乗り出すものの・・・